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27 November

みみみ、強くなる。

まーの敗北の仕方と作中の悪についてみていく予定だったけれど、
そこで書こうとすることに言及するには、
先に確認が必要なことがあると判断してそれについて書く。

みみみは「強くなる」という目標をもって自分より強い相手と戦い、勝利してきた。
その強さは主人公を降板させられるほど桁違いのものになってしまった。

ところで、この物語で言う「強い」とはなんだ。



2巻「技風むむとわざぼー」


むむは語る。


  戦士の強さは目の輝きだ/その目を閉じないかぎり
  /アイツ(注:みみみ)は絶対に死なないんだ!! 
  ――(同上)


なるほど。これだけ抜き出したってよくわからないので、
具体的なことは作品を見ながら確認していきたい。



* * *

先に結論から言ってしまうのは手順としてどうかと思うけれど、

おそらく、

「強い」というのは、何があっても、どんな意見でも貫き通すための
アイデア(技)を思いつき、勝負の結果に関係なく自分の主張を続けられること、

とみている。


まー、むむ、めんめんは我が強い。
「オレのため」、「オレ自身」、「おねがいボクのかわりに」といって積極的に行動し、
主張が一方的な押しつけっぽいことがある。


一方、みみみは受け身で考えてから
共感したり、共感できなかったりの態度を示して意見する。



こうしたみみみの強さとは、
どんなものか、その強さは何をなしたか、何のために使いたかったか
ということについて今回は見ていきたい。


● 受け身のみみみの目の輝き

みみみはあとから考える人だ。
理不尽に強制される困難に対してカウンター的に考える位置に設定されている。


村長の命令により敵を待ち受ける<たからの番人>であり、
みみみ自身がたからから離れて敵へ攻め入ることは原則的に許されていない

また、戦闘中思考停止に陥りそうになっても
わざぼーに促されて思案を巡らすシーンが度々あるように、
みみみは考えることを止めてもいけない。

あくまで受け身の立場で、直面したその時々についてを
柔軟に考え、対応しつづけなくてはならないのである。


これはみみみの戦士としての目を見開かせるための状況設定でもある。
受け身で理不尽に強制される困難を迎え撃つというのは、安全ではないピンチな状態だ。
その中で考え出されるアイデアこそが「希望の光」なのだ。
(1巻「空からの訪問者とわざぼー」)


理不尽な困難を強いられることは「命令」という言葉でも言われている。
それはわざ武王の配下で活動していたむむにも課せられていたものだ。
ただし、彼は自主的な行動をするという判断に対する制限を意に介さない。


  今までの敵はたぶん「命令」で戦ってると思うけど/
  技風むむ(ルビ:アイツ)は「目標」で戦ってるんだと思う
  ――(2巻「負けた理由とわざぼー」)


とみみみが感じたように、命令にただ従っているのではない。
また、命令に失敗してわざ武王から制裁を加えられるが、黙ってやられたりはしない。
むむは「目標」のためなら平気で「命令」を逸脱しようとする。
むむとみみみの違いは、「目標」のために、命令に歯向い能動的に行動するか、
命令の範囲内で受け身で行動するかだ。


みみみはむむのような自由行動はしない。
復讐のため敵地へ潜入するめんめん、あるいは野望のため怪物を復活させようとするまー
のように積極的に他に向けて行動することもない。


むむの救出はギリギリ能動的な逸脱行動と言えそうだが、抑止力である他者(わざぼー)の許可によって可能になる。みみみの行動は制限が前提としてある。制限によって強いられた受け身の範囲での行動なのである。そのなかで「目標」に向かっていく。



2巻「負けた理由とわざぼー」


このように、
徹底的に受け身というピンチであり続け、
そこで発揮される柔軟さこそがみみみの「強さ」
として描かれている。


● 経験的に学ぶみみみ

みみみは受け身であり、わざぼーのアドバイスを聞いたり、相手をよく観察している。見たり聞いたりして得た情報について、敵の弱点を突くアイデア(技)に結びつけるほか、他者からのアイデアの借用、つまり、みみみは他者からの影響をうけてそのアイデアを自身の戦いのなかで役立てることもある。

影響を受けると言っても主に技風むむだが。

再三の対決でむむが提示する技を繰り返したことにはじまり、
彼の指摘によってみみみは戦闘中意識的に目を開けるようになった。(2巻)

わざ武王のアジトに潜入したときはマジックルに苦戦するが、
むむがどんな状況でも常に笑顔でいた意味を考えてアイデアに結びつけて勝利。
その後、共闘してわざ武王を倒そうとしたときもむむの作戦に従った。(2巻〜3巻)

みみみが落ちこんで戦いをやめると言ったときには、
彼に励まされて気持ちを整理し元気を取り戻した。(4巻)

「疾風衝撃波」は2回目の対決(2巻)のときにむむが提示した技だが、
当時みみみが繰り返し、また、暗黒ま城でレイトーンとの戦いにおいても
彼女はこの技を使っている。(5巻)


むむの影響を受けた描写が多いけれど、
ジミーとの戦い(5巻)で反応の良いめんめんとのスピード勝負を思い出したのも
彼女が経験的に対処の仕方を学んだということがわかる描写といえよう。


●  みみみの意見

みみみが受け身で他者から影響を受けたり、
カウンター的に意見を主張する(アイデア/技により反撃する)からといって、
場当たり的な考えしか言わないわけではない。

みみみなりの意見はある

引用が面倒なので要点を以下に箇条書きする。
各項末尾()内に、該当する内容がある巻数、タイトル、
また、みみみがその考えを言った相手がいる場合はその名前、を添える。


  ・  戦わなければならない事情にはこだわらず、強いヤツと戦えればいい。
   (2巻「技風むむと技々みみみ」)

  ・  力が弱かったり、不利な状況でも立ち向かおうとする戦士には強さを認める。
   ( 1巻「小さなチャレンジャーとわざぼー」、チャオチャオ/
   4巻「カゼひき戦士とわざぼー」、シッポウ/
   5巻「まっくらな星とわざぼー」、技星めんめん)

  ・  じまんできることがたくさんあるヤツは油断するからこわくない。
   (1巻「本物のじまんとわざぼー」、マンジー)

  ・  安全なところで戦っているヤツは弱虫ヤロー
   (1巻「空からの訪問者とわざぼー」、レイザー)

  ・  頭のよさを理由に自分の命令を絶対とする奴が、
    それを逸脱した行動をしようとする
他人を貶す態度は気に入らない
   (1巻「おかしな2人組とわざぼー」、イーズル)

  ・  自分の目的のためにだれかのチカラをかりようとするヤツは
    なさけない、こわくない、弱い。
   (6巻「みみみとまーとわざぼー」、技神まー)


こういった考え方(意見)に基づいて戦いに臨み、アイデアに結びつける。

まーへの意見は、レイザーやイーズルに言ったことと重なる。
また、彼には「技々みみみにオレはたおせない」と油断する態度もあるので、
マンジーをこわがらなかったように、こわくはなかったのだろう。

このように、1巻という当初に言われていた、みみみが気に入らないし、弱い
と思うような戦士としての態度が6巻のまーにおいて反復して主張されている。
つまり、彼女の意見は一貫しており、変わっていないことがわかる。


● 被支配者の反逆としてのみみみ

まーとみみみは強くなるという目標をもっている。
が、やり方が異なり、立場も違う。


自分の目標のため、他人に命令をくだして逆らう手下はゆるさない
絶対的強者であろうとするのが、まー。

命令により行動を制限され、その範囲内で強い相手と戦って強くなる
という目標を達成しようとするのが、みみみ。

だから、みみみのまーへの挑戦は、
被支配者が支配者に対してする反逆の意味合いも帯びる。※ 

2人が再戦したときのみみみの攻撃は、
支配者は被支配者を従わせることができなくなったら弱い、
という弱点をまーに示したともいえる。(6巻)

※  『わざぼー』では正体が明かされないが、
   みみみに命令をくだしていた村長は技神まーだ。 



ただし、みみみは
強いヤツと戦って勝つことで「強くなる」という目標を達成できればいい
ので、自身が支配から解放されるために戦うことはない

けれど、むむめんめんのように、わざ武王あるいは技神まーの支配下にあって、
彼ら自身の目的のために能動的に行動しようとするのを支配者たちから妨害される
彼らを解放する戦いに挑むことになる。

みみみは彼らの目的に巻き込まれて、
彼らでは敵わなかった強者である支配者たちに挑むことになる。
そして、勝利する。

受け身でカウンター的に対応してきたみみみの柔軟な「強さ」は、
一方的な命令を強いる支配者を打破することができるものなのだ。


● みみみは誰にも消えて欲しくない

しかし、みみみは戦いの中で一度しくじっている。
みみみに感化され反抗を試みたシッポウが技神まーの「強さ」の前に消されてしまった。
以来、彼女は自身の「強さ」を「だれにも消えて欲しくない」という願いのために
使う決心をする。(4巻)

だから、みみみの「強さ」は、
ことごとく意見が反発するまーであっても消さないものになっていった。

シッポウの事件以前の支配者・わざ武王との戦いで使ったとどめの技は「滅ビーム」
という相手を滅ぼす、言って見れば《消し去る/排除する〉性質のものだった。 

みみみはまーを抹消することなく、共に生き延びようとした。

※ 2巻、マジックルはさり気なく焼き滅ぼされている


● まとめ

みみみは受け身である。
ピンチに対応し、経験的に学び、他者のアイデアをとりいれたりする
柔軟さが彼女の「強さ」だ。

その強さはピンチをもたらす者に対して反撃する力を持っており、
その最もたる存在である支配者を打破することができる、
ということを作品は描いてきた。

しかし、たとえ相手を打つことができても、
みみみには「誰にも消えて欲しくない」という願いがある。


それをまーは受け入れない。

どうしてこうなった! というのは、今回先延ばしした内容とともに次回書く。

ーー 今回はこの辺でノシ

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