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06 November

汗の区分4

※ 辞書は広辞苑からの引用になります。【】~~~ と表記。

【心理的表象】のため汗の描写がされる際の意味について、
【困る】【焦る】【苛立つ】を説明し、例をあげてきた。

これらはひっくるめて

  【緊張】行動への準備状態にあるとき、あるいは次に起こる事象に
       対処しようとするときの心的状態。


ということができる。ちなみに、これは心理学での定義のようだけれど、私は厳密な学術的意味を理解していない。あくまで、ここに引用した辞書に載ってる限りの意味でとる。

つまり【緊張】とは、次に起こる事に備えて、それに対処できるかできないかがわからない不安(不安定)な状態といえる。

緊張の状態は対処が完了するまでは継続することになる。
事に当たっている最中(緊張が継続した状態)に、これまで言ってきた、

  ・ 方策の有無、実行の可否
  ・ 時間の経過への意識
  ・ 怒り、腹立たしさ

が人物の心理的葛藤として浮上したとき【困る】【焦る】【苛立つ】という詳細な意味の区別が顕在する。

だから、事が完了に近づいたり、完了した状態というのもあるわけで、

  【弛緩】ゆるむこと。だらしなくなること。ちかん。

辞書の定義がイマイチピンとこないけど、張り詰めていたものがゆるむ。単純に対義語だ。

【弛緩】は事の処理が完了に近づいた、あるいは完了した状態。その際の心情として、安心。また、予期したものより悪いことにならなかったため拍子抜けした場合の汗をこれに区分する。




* * *

言葉の説明が長くなったけれど、以下に例をあげる。


[緊張] 3巻

 
[緊張] 3巻
みみみは緊張状態だが事を完了しつつある。一方、わざ武王は事に直面して緊張している。


[緊張→弛緩] 3巻
コマの進行のとおり、緊張から弛緩つまり事の最中から完了に向けての推移が汗に現れている。


[弛緩] 3巻
安心した 。


[弛緩] 2巻
みみみ、拍子抜け。




話が長くなっているが、おさらい。


2巻 (クリックするともう少し大きな画像になる)

上に引用した1ページ(開いたらちょうどよさそうだったので持ってきた)について、これまでに話した汗の意味の区分を念頭に置きつつ、みみみの汗について解説する。

汗は以下のような心理的表象の意味にとれる。

  ・ 1コマ目……緊張
  ・ 2コマ目……焦り
  ・ 3コマ目……<汗なし> 
  ・ 4コマ目……弛緩
  ・ 5コマ目……緊張
  ・ 6コマ目……焦り

なるべく作業の手間を省こうとして画像処理が雑で申し訳ないけれど、切れてる7コマ目には敵の行動をあらわした効果のみが描画されている。人物は描かれていない。(おそらく、次のページで詳細を明かす「ヤツ(注・敵)のねらい」について読者の興味を引きつけるためのコマ)

1コマ目の【緊張】は眼前に迫り来る敵の攻撃に対するもの(A)で、2コマ目でみみみは攻撃を受けるしかなく刻一刻と迫る痛みに備えて【焦って】(A)いる。しかし、3コマ目のとおり敵は攻撃をしなかった。4コマ目でみみみは敵に攻撃を受けるという事からの緊張が解けた【弛緩】(A)の汗を流す。しかし、何かに気がついて5コマ目の汗は新たな事に対する【緊張】(B)を表す。6コマ目はセリフで言ってる「ヤツのねらい」が刻一刻となされるために【焦って】(B)いる。

という具合に、汗の意味は移り変わっている。

このシーンでは、汗を描きこまれた人物(みみみ)が対処を迫られている事(見分けがつくよう(A)(B)と振った)に直面して(【緊張】)から完了する(【弛緩】)までがセットになっている。汗が表象するものが、事(A)に対する【弛緩】ののちに、新たな事(B)への【緊張】になっており、対処する問題が切り替わっていることがわかる。

確かに場面は戦闘中でずっと汗かいてるんだなー、と言えなくもない。けれど、運動のために体温が上昇して汗が流れるなんていわずもがなのことだし、そんなことを説明するために汗を書き込んでいるわけではない。

ほんとに昔はバカなことを臆面もなく言ったもんだ!(汗)

色々書いてきたけれど、状況から判断して、弛緩(事の処理が完了した)以外の汗について、困ってるのか、焦ってるのか、苛立っているのか判断がつかない場合はすべて【緊張】ととればいい。

何に対して緊張しているかを考えると、マンガをよりいっそう面白く読めるのではないか。

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